人を好きになる気もちや、好きな人と最初にキスをするときの心の震えを、耕平はいまだに鮮やかに覚えていた。あのときの誇らしい思い、甘く傷つけられたような切なさ、一歩だけ大人の階段をのぼったという自覚。すべてが素晴らしい経験だった。(…中略…)
恋愛によって厳しくつらい人生が、どれだけ報われるかわからなかった。ときに人はひとつの恋を胸に抱いて、一生を生き抜くことさえできる。それほど恋の力は強いのだ。
『チッチと子』 より
生きることが苦しくてたまらないとき、人生の道に迷ったとき、なにもかも嫌になったとき、なに気なく手にした一冊の本が新しい一歩を踏みだすように背中を押してくれる。世のなかに立ちむかう勇気をくれる。一冊のおもしろおかしい本にさえ、人の命を救う力があるんです。
『チッチと子』 より
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